偵察機入門―世界の主要機とその運用法 (光人社NF文庫)

各国で使用された偵察機を、それぞれエピソードを交えながら紹介するいわば「偵察機カタログ」。搭乗する期待はほぼ二次大戦までなので、SR-71やU-2、Mig-25Rなどは未カバーだ。逆に黎明期/一次大戦期の偵察機については飛行船まで紹介しており、これは一読に値すると思う(戦間期の飛行船についても記述あり)。難点を言えば副題にある「運用法」についてほとんど書かれていない点で、使用したカメラ機材などについていくつかの機体の解説に記述されている程度。各章末に見開きのコラムを入れる程度いいから、「入門」と銘打つからにはここをもう少し充実させて欲しかった。

とはいえ、前述の飛行船の紹介ほか、零式小型水偵の陰に隠れがちな96式小型水偵をしっかり紹介していたり、捕虜を空輸していたイタリア軍のRS14Bがハイジャックされた話など、個々のエピソードをうまく選んで「読める」記事にしてたり、ハンディなカタログとしては好著だと思う。

でも一番の読みどころは「はじめに」だ

都内の生まれの筆者がこの街に移ってきてからすでに四十年以上が過ぎたが、やって来たばかりの頃には「いつ帰るの?」と親に訊いて笑われるほどのすっとぼけた幼少期だったという(姪っ子の愛読書に出てくる「よつばちゃん」の引越し、笑えないなあ。笑っちゃったけど。)

おっさんおっさん

偵察機入門―世界の主要機とその運用法 (光人社NF文庫)

偵察機入門―世界の主要機とその運用法 (光人社NF文庫)