『スラムオンライン』(桜坂洋/ISBN:4150308004)

ストーリーについての感想はまだもやもやしているのだけれども、格闘ゲームの格闘シーンの描写が、北方謙三の小説の生身の格闘シーンに似ている気がして印象に残った。スタッカートの利いた、畳み掛けるような動作の描写。考えてみれば、格ゲーでキャラを操作するのも、実際の乱闘で闘うのも、どちらも反射的な細かい動作の反復なので、文字に落とし込んでみたときに似たような描写の手法が現れてくるのは当然かもしれない。一面では、文字で動きを描写することのバーチャル性、というか、文とはあくまで頭と手先で書かれるということが露になっているとも言えそうだ。